近畿地方は、昨日(5月28日)に梅雨入りが告げられましたが、皆様、いかがお過ごしでしょうか。

今回から数回にわたって、「和(なごみ)」の店内に飾って(置いて?)いる、昔の調度類を簡単な説明をつけて紹介いたします。

今回は、玄関にあります農機具をいくつか紹介いたします。

 

①     唐箕(とうみ)

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玄関に入られてすぐ右手にあります大きな木製の道具が、唐箕(とうみ)です。唐箕(とうみ)とは、収穫した穀物を脱穀(だっこく)した後、籾殻(もみがら)や藁屑を風によって選別する農具である。脱穀(だっこく)とは、収穫した穀類(イネ、ムギ、ダイズ、アズキ、アワ、ヒエ、ゴマなど)を茎からはずすことです。イネの場合、稲扱き(いねこき)ともいう。 脱穀に続く、籾殻(もみがら)をはずす作業を脱稃(だっぷ)と呼び、脱稃(だっぷ)を含めて脱穀(だっこく)ということもあります。

この一連の工程を整理しますと次の様になります。

工程:      使用する農機具:

脱穀(だっこく) 扱箸(こきばし)(昔)、千歯こき(江戸〜)、脱穀機(大正〜)

脱稃(だっぷ)  土臼(昔)、籾すり機(昭和〜)

選別       唐箕(とうみ)

基本的な使い方は、左手で唐箕の上部に配した漏斗から少しずつ穀物を落下させながら、クランク状のハンドルを右手で回転させることで風車を回転させ、風車の風を横から送って藁屑などの軽いものを吹き飛ばします。

上手に選別を行うには、風車の回転数と落下させる流量の調整にある程度の熟練を必要とする様です。

 

②     千歯(せんば)こき

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唐箕(とうみ)の横の足元にあるのが、千歯(せんば)こきです。

唐箕(とうみ)の所で少し説明しました通り、千歯(せんば)こきは、収穫した穀類(イネ、ムギ、ダイズ、アズキ、アワ、ヒエ、ゴマなど)を茎からはずす、脱穀(だっこく)の工程に使われた農具です。

木製の台に付属した足置きを踏んで体重で固定し、櫛状の歯の部分に刈り取った稲や麦の束を振りかぶって叩きつけ、引いて梳(す)き取ります。稲の場合は、これで穂から籾が落ちるので、脱穀が完了します。麦の場合には穂が首から折れて穂のまま落ちるので、これをさらに叩いて脱穀します。

この千歯(せんば)こきは、店主の本家(北平野)にあったものをお借りしてきたのですが、残念ながら木の脚が1本折れていたので、「和(なごみ)」の納屋にあった木材を切ってあてがいました。この時、木材の色合いを本体と合わすために、本返し(蕎麦汁(そばつゆ)に使われる調味料)を何回も木材に塗りました。

 

③     毛羽取機

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玄関入って左手の畳の上り間に、2台の「毛羽取器」が置いてあります。そのうちの1台が写真のもので、「報國ベルト式セーコー號」というプレートがついています。

これらの「毛羽取器」は、「和(なごみ)」の納屋にあったものですが、正直に言って、私は、誰が何のためにどうやって使っていたか知りません。「和(なごみ)」の建物のオーナーさんもご存じではありません。

「関ケ原町歴史民俗資料館」のホームページには、「毛羽取器」の使用例のイラストがあり、「蚕が繭(まゆ)を作る時、簇(まぶし)に足場となる糸を吐きます。その糸が毛羽となって繭どうしが絡まらないように毛羽取り機を使用しました。」との説明があります。「和(なごみ)」にある手動式のものは、大正時代に使われたそうです。

この「毛羽取器」についてよくご存じの方がおられましたら、是非教えて下さい。

毛羽取イラスト